オスシリンダー

2020年オタク楽曲10選 上半期報告

こんにちは。こんなブログに立ち寄って下さりありがとうございます。

 

※無駄なこと書きすぎて書ききる気力がなくなったので供養です。

 

今回の記事、毎年恒例「個人的オタク楽曲10選」ですが、昨今のオタク音楽シーンの情報過多具合を鑑みた結果、上半期下半期でそれぞれ選考して選んだほうがいいじゃん。となり、記事を書く運びとなりました。自粛期間で暇だっただけ

毎年年末に向けて楽曲を振り返って買ってないCD買ったりいろんな記事とかアニメ見てる時間ってめちゃめちゃ有意義だし楽しいですよね。そういう感じです。自分の語彙の限りを尽くして少しでも魅力が伝わるように頑張りました。

 

と、いうことで文章力壊滅級くんが頑張った結果、一楽曲につき約2000字というバカすぎる記事になってしまいました。見ていただきたいですがバカすぎなので、興味がある一曲を下の目次から摘まんでいただけると嬉しいです。

 

 

~供養~

⑤SCREEN GIRL / 諸星すみれ

⑥コドーモ・デ・ヒーロ / コドモ連合

⑦キミのラプソディー / Mashumairesh!! 

⑧Rainy Girl / マシマヒメコ

⑨23時の春雷少女 / 鬼頭明里

➉アンチグラビティ・ガール / 月乃美兎

 

・選考基準

アニソン、アイドル、声優、Vtuberをはじめとする オタクっぽい曲。

 

一作曲者(編曲含む)につき一曲。

 

斜に構えない。いい曲を選ぶ。

 

※楽器をやってきたわけでもないので音楽的知識は全くありません。ただ好きなところを並べているだけです。感覚的な話が多めですがお付き合いください。

 

 

 

罰と罰 / 鹿乃

作詞:鹿乃 作曲:田中秀和 編曲:佐高陵平

open.spotify.com

 

鹿乃さんの3月4日のアルバム、yuanfenより、「罰と罰」です。編曲の佐高陵平さんの別名義は名曲製造機y0c1ey0c1eさんと言えば耳に残るポップな楽曲が浮かびますが、そんなイメージを見事にぶち壊しています。

 

悪縁や嫉妬がテーマで、タイトルの罰と罰は「執着しすぎた罰」と「執着しなさ過ぎた罰」から来ているそうです。

見方を変えれば悪縁でつながっている幼馴染の「あなた」と、本心に反して八方美人で誰にでも同じ顔をしてしまう「私」のドメンヘラ楽曲だと思ってます。憎悪は渦巻くものですが、しっかり音も渦巻いています(ものには限度があるが)。

 

 

このアルバム、2020年で一番楽しみにしていたアルバムです。全曲田中秀和プロデュースということでなかなかのハードルでしたが、期待を裏切らない最高名盤になってくれました。

中でもこの「罰と罰」、アルバム全体のイメージにアクセントを加える位置にあるにも関わらずアクセントが強すぎて全部持ってかれそうになるめちゃくちゃ怖い曲です。

 

特徴的なのは渦巻きすぎて訳が分からなくなってくる音数気味悪いベースラインと不規則に動き回るシンセ音。Aメロ後半から入ってくるコーラスでは、ボーカル単体で聴くと違和感の塊であるものを、リフレインされるピアノの進行と同タイミングから入ってくる上記のシンセ音が意識をそらす、というか脳をバグらせて不快には感じさせないラインで中和させています。YouTubeにこの曲をピアノオンリーで上げている天才さんがいるのでそちらも是非聞いてみてください。聴き方が無数にあって聴けば聴くほど発見がある、中毒になります。100回は聴いてる気がする。

 

テーマの一貫も見事で、よくある暴力的な悪ではなくてもっと本質的な、制御の効かない負の感情を感じます。曲の入り方も特徴的だと思っていて、スイッチを入れたようにゆっくりと、段階的に始まる不安を煽る音は、突飛に0から100で沸くものではない「嫉妬という感情」らしくてゾクゾクします。

コード進行とかいうのに疎くて分かりませんが、サビになんだか明るい印象があるのも凶器じみていてたまりません。Cメロではブレイクで感じる音数の差も印象的ですが、なにより頭を抱えずにはいられない見事な歌唱表現力歌声だけで段々と表情が変わっていくのが分かって本当に鳥肌が立ちます。まさにトランスミュージック、聴くドラッグです。

 

 

これは去年の世界が震えた楽曲、「CAFUNÉ」の時にもすごく実感したことなんですけど、鹿乃さんの吐息が混じりに混じったウィスパーボイスって糸みたいに繊細で壊れそうなのに詩を刺すブレない芯があって。上手く表現出来ないのがもどかしいんですが、「歌声」が限りなく「音」に近づいてリンクしている、別次元のストリングスみたいです。鹿乃さんの実力だけではなくて、そう感じさせる絶妙なボーカルエディットも見事だと思います。

 

昨年~今年の流行はFutureをはじめとするEDMだと思うんですが、この曲はジャズベースということもありダンスミュージックと呼ぶかは怪しいものの、縦ノリしてしまうようなキックと混雑する低音をアクセントにしている分、鹿乃さんならではの掴めない高音が浮遊しているような感覚になって本当に唯一無二の楽曲に仕上がってますよね。同アルバム収録「午前0時の無力な神様」と「光れ」では編曲にAireさん(前)、Norさん(後)の超有名トラックメイカーが参加しており、これもまた「音」を楽しむEDMとの相性の良さを感じさせてくれる作品です。熱がすごい今だからこそ、再注目して欲しいアーティストですね。

 

 

時間がある方はぜひ鹿乃×田中秀和の対談記事もどうぞ。楽曲の解説もですが、鹿乃さんの音楽観についてもかなり掘り下げていて、見ごたえのある記事です。

realsound.jp

 

 

余談にはなりますが、上記記事にもあります昨今の音楽シーンならではの「音楽と命」という話題が好きな方はぜひとも以下のライナーノートも読んでみてください。

ついでにAZKi瀬名航さんについてもチェックしてみてください。5月31日公開のAZKiの新譜「Intersection」は10選にいれるか最後まで迷った完全名曲です。作曲はHi-Techの申し子、TANO*C STOREトップページからだいたいワンクリックで見つけられるあのlapixさんです。MVもクソ良いのでぜひ下の再生ボタンをクリック。長くなりそうなので割愛します。

note.com

 

youtu.be

 

 

 

 

 

②水生 / CYNHN

作詞・作曲:渡辺翔 編曲:eba

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ディアステージ所属のアイドルグループCYNHN(スウィーニー)より、3月18日発売シングル、水生です。レーベルはI BLUE、JOYSOUND経営のエクシングの子会社らしいです。絶対SONYだろと思ってたら全然違いました。

作曲は全オタクの育て親 Sho Watanabe、編曲はド変態音楽男 ebaです。

ebaさんというとOLDCODEXのイメージが強くて低音ガツガツのイケイケの具現化って感じですが、この曲も一見爽やかでありつつ前に出てくるドラムとスラップベースが芯があるカッコよさを演出してます。より今風に、アングラ感の増したThis game/鈴木このみ(同編曲)って感じ。ちなみにこの二人が作った楽曲がこの2020年上半期にもう一曲出ています。「セルフィ―Dimension / RainDrops」、イントロ→Aメロが美しすぎる。こちらもぜひ。

 

 

この曲をサウンド面だけで見て一言で表すなら「カルビ曲」です。スルメ曲が聴けば聴くほどうまみを感じて定期的に聴く曲なら、水生は一回、20秒、一口聴いたら「ヨ!!!!!!!!!」と大声を出し、飽きるとこまでリピートし、飽き、1週間くらいたった後でもう一回聴いたら「やっぱこれだよな^^」と言っちゃうやつです。渡辺翔さんの楽曲、疾走感(ある程度で飽き)と不安定さ(何度も聞きたい)が同在しているからかこれになりがち。

 

 

そんな訳でサウンドはもちろんの事ですが、この曲の真髄は最早芸術作品の詩。美術館に歌詞カード展示されてもおかしくない美しすぎる比喩表現にあると思います。

物語のように進んでいくこの詩ですが、お魚の話、と思いきやまさかの海洋植物主観のお話。「差し込む光に向かって泳ぐ君」と「ただ水中深くで波に流され気づけば大人になっていた僕」が対比になっています。

 

ただ周りに流されながらなあなあで生きてきた自分、「大人に変われば必ず優雅に優雅になってると 疑い向けずにずっと待っていた」「外の世界にいたら見えた 不完全で虚勢張った子供じゃない自分がいた」刺さりすぎて涙があふれて止まりません。

 

自虐はさておき、ここからは個人解釈です。渡辺翔さんが「オタク君今どんな気持ち?www」と思いながら書いた詩とは思えないですし、公式の文言に『ユニットとしてもがき苦しみながらも進んでいく様を"水生生物"と重ねた歌詞が魅力』とあるので「」が現在のCYNHNメンバー、「」は脱退してしまったメンバーなんだと思います。実はこのシングル、メンバー脱退後に出した初のシングルになるんですよね。

 

当てはめると意外としっくりきます。脱退してしまったメンバーは桜坂真愛(まなり)さん。結成前から病気をかかえていたそうで、2019年末、脱退に至ってしまったそうです。明記は避けますので気になる方は名前で検索してみてください。実力もあり、ファンからも愛されていたのが分かります。

 

脱退理由を見ると「僕」と「君」の立場に若干違和感を覚えるところもあるのですが、結成から傍で見てきた渡辺翔さんからの「卒業」というのは喜ばしいこと卒業=光に向かって進むこと。なんてポジティブなメッセージ性もあるんじゃないかな、と思います。引き止めたくても引き止められない状況だったからこそ、何度も繰り返される「もしも」が意味を持っているとも感じます。

大きな絨毯になって君のこと運べるくらいにね

あったかすぎます。いつかまた6人で活動しているところが見たいです。

 

 

さいごにCYNHN×渡辺翔ということで紹介(全人類知っている)したい曲が一つ。アニメ「推しが武道館いってくれたら死ぬ」より、OPテーマ、Clover wish/ChamJam (作詞作曲:渡辺翔 編曲:倉内達夫)です。

 

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 原作に寄り添った作品なのは間違いないが、CYNHNのことを結成当初から見てきたからこそ書けた楽曲、と渡辺翔さんがどこぞのアニソンを語るイベントで言っていました(たしか)。これももともと10選入るレベルの名曲ですが、より深みを増す制作背景だと思います。歌詞派の皆さんは是非ニチャニチャを深めてみてください。

 

 

 

 

 

③ゴンドラの唄 / NOW ON AIR

作詞:吉井勇 作曲:中山晋平 編曲:伊藤賢

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飯野美紗子、岩淵桃音、片平美那、神戸光歩、鈴木陽斗実、田中有紀 の声優6人からなるユニット NOW ON AIRより、TVアニメ「啄木鳥探偵處」EDテーマ、「ゴンドラの唄」です。

作曲の中山晋平さんの代表曲は「シャボン玉」(シャボン玉飛んだ屋根まで飛んだやつ)、作詞の吉井勇さんは歌人として名を馳せながらも劇作家や小説家としても活動し、ロマン主義流行の中心人物でありました。

 

 

 

ん?

 

 

はい。そうです。この「ゴンドラの唄」、原曲は1915年に発表された歌謡曲です。

そんな昔の楽曲を100年近くたったこの令和の時代にもマッチする名曲に仕立て上げたのは一体どの名編曲家ですか???

 

 

その正体こそ今大注目のクリエイター、「伊藤賢」さんです。伊藤賢さんは先ほど紹介したCYNHNにも楽曲提供をしており、王道を攻めるTHE・また名曲作っちゃいました系クリエイターです。絶交郷愁(ゼッコウノスタルジック) / CYNHN、平成のニコニコ全盛期を生きてきたオタク絶対好きなので聴きましょう。MVもおもろい。聴け。

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ちなみに、曲と声優とアプリの人気が釣り合ってなさすぎる声優育成ゲーム「CUE」より、「Forever Friends」編曲、「ヒカリ二染マル未来」編曲、なによりこれもまた10選に迫る名曲、「beautiful tomorrow」の作詞作曲も担当していらっしゃいます。神は神を生みがち、音楽は神話です(名言)。他には「DOG DAYS"(3期)」のEDテーマ、Stay With Me / 堀江由衣 の作詞作曲も伊藤賢さんです。DOG DAYS懐かしすぎて死にそうになりました。

 

中でも一番驚きなのは、大人気バンドMrs.GREEN APPLE共同制作者としてアレンジで参加していて、日本の音楽史に残る大名曲「僕のこと」のシンセ・ストリングスアレンジも担当されてたこと。ボーカル・作詞作曲の大森元貴さんがすべてにおいてバケモノなのはそうなんですけど、あの曲のストリングスって相当肝の部分じゃないですか。まるで讃美歌のように壮大でまさに喜怒哀楽の「喜」を表現しているオーケストラ。でもそれがやりすぎになることもなく、意外にも現実を突きつける歌詞とうまく中和しつつ、強弱を繰り返す曲構成で飽きるどころか毎回音の厚さに感動するぐらいです。「鼓舞する」という意味では、ある種これが到達点とさえ思います。

 

認知度も相当ですがもし何かの間違いで聴いたことない人がいたらマア大変なのでとりあえずここで初めてを捨てておきましょう。そんなん知っとるわボケ派のみなさんのためにもライブバージョンのリンクを貼っておきます。ホントに人間から出てる声なのが確認できます。それも知っとるわボケ派のみなさん、出しゃばってすみませんでした。

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ゴンドラの唄どこ行った?と思っている方、僕も思ってます。本題に戻ります。

 

この「ゴンドラの唄」ですが、僕の大好きな三拍子(実は八分の六拍子ですが)かつ変拍子の曲です。

原曲発表時の音楽理論の型では今でいうAメロ、サビのようなメロディー構成は歌謡曲においてはなかったようなので、わざとそういう構成にしている曲が今もあるとはいえ、それをアニソンのようなメリハリのある尺に当てはめるのは難しい。はずなんですが、変拍子を用いることでこれが全く飽きることなく、ちゃんと現代の音楽のように音の展開や変化を楽しむことが出来ますよね。

変拍子だけではなくて、序盤のステキすぎピアノソロ、展開部分で入ってくるアッパーなバンドサウンド、サビ(と言ってもいいでしょう)のインターネット感を演出しているシーケンスフレーズ、声優ならではの曲の表情もとい感情表現の上手さ、様々な要素が絡み合ってちゃんと令和のアニソンとして完成しています。

アニソン方面ならではの多様なアプローチと伊藤賢さんの音使いの上手さがハマってなんかすごい新曲になっちゃってますよね、初見でこれが100年前の曲って気づかんもん。

 

 

個人的には盛り上がりの部分のシーケンスフレーズが特に大好きで、あのピロピロいってるリフはボカロ曲で聞き覚えがある方も多いんじゃないでしょうか。僕が1番大好きなボカロP、石風呂さんはよくシーケンスフレーズを使ってる印象があります。

 

石風呂さんと言えば、現在石風呂改め朝日さんが楽曲制作とギターを務めるバンド「ネクライトーキー」がめちゃめちゃキテます。2年前くらいにライブに足を運んだのですが、音源で聞く独特なダウナーさとライブでの貯めてたものが爆発してるようなアッパーさのギャップが凄くて一層好きになりました。変な人が歌う変な曲が暴走したらそりゃ凄い。朝日さんらしく少し重く、達観的な視点で語りつつ、ボーカルのもっささんのどこか現実離れの歌声が他にはないアンダーグラウンドな世界観を演出しています。

 

僕はこれを聴いてライブに行くことを決めました。ネクライトーキーらしさが詰まってます。ぜひライブとのギャップも感じてみてください。下のライブバージョンの煽り部分、めちゃくちゃ 天国と地獄 / UNISON SQUARE GARDEN 始まりそうでおもろい。

 

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④もしもし、インターネット / でんぱ組.inc

 作詞作曲編曲:諭吉佳作/men

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わかります。サムネでもう聴いてみたくなったでしょう。ちなみに令和のMVだというのに画質は480p止まりです。でもびっくりするのはMVだけじゃありません。

 

作詞作曲編曲を担当している諭吉佳作/menさん、2020年6月現在、16歳のJKです。

 

 

16 age jk

 

 

この世はおかしいことでいっぱいですね。

単独の楽曲提供自体はまだでんぱ組にしかしていないものの、天才ってこれか!なるほどね!とすぐにわかるスーパーウルトラハイパーミラクルアーティストです。崎山蒼志くんからはじまり諭吉佳作/men長谷川白紙sasukeとかとか...若手バケモノアーティストがほんとうにモリモリ出てくる。君たち転生何回目?

 

彼女については注目されすぎていて音楽詳しいマンがたくさん記事を書いているのでそっちを見てほしいしなんなら記事見ながらこれ書いてるんですが、彼女の音楽を表す上で一番しっくりくる表現は「まどろみ」だと思います。ジャズも電波もChillもlofiもこなしてしまう多彩な方ですが、─────────

 

 

 

 

もしもし、インターネットサビ

 

 

「(ポッ...ポッ...ポッ...)」

ハジメマァ~~~~~~~~~(転調)」

 

 

マァ~~~~~~~~~~^^^^^^^^(絶叫

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神です。もう飽きてしまいました。

 

最後に。

 この「もしもし、インターネット」収録アルバム「愛が地球救うんさ!だってでんぱ組.incはファミリーでしょ」の初回限定版Bには諭吉佳作/menさんの「ゆめをみる」、そして三年前にレコーディングされついに日の目を見ることになったwowakaさん作詞作曲編曲の楽曲「アブノーマルQ」が収録されています。僕たちのwowakaがいます。後の曲はもういいのでこの曲だけでも聴いて行ってください。

youtu.be

 

 

完。